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2015年9月10日木曜日

オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史

 オリバー・ストーンとピーター・カズニックの共著。
第二次世界大戦後、歴代の大統領と共にアメリカがどのように変わっていき、かつ世界を巻き込む混乱を引き起こしていったかを克明に描いた大作で読み応えあり。
第二次世界大戦の脅威を乗り切り、これからはこのような悲劇を繰り返すまいと大国同士が笑顔で手を握り合おうとした矢先にその手の平を返して協力ではなく裏切りを、信頼ではなく疑いを持ってただ自国の利益の追求のためだけに走り出してしまったアメリカ。
国民のために立ち上がりなおかつ国民に支持されて指導者となった人たちをアメリカの利益に反するという理由で数々の謀略を仕掛け、最終手段としてその国の軍部をそそのかし武器を提供しクーデターを起こさせ、その後の国民への圧政や虐殺にも目をつぶり操り人形のように動く親米政府をあちこちに建設させ続けたアメリカ。ユダヤ人の虐殺や原爆による一般市民の虐殺など数多くの悲惨な出来事が第二次世界大戦時の大きな不幸として過去のことになっているけれど同じようなことは今現在も世界各国で起きている。

何がそのような政治体制を生み出す元凶となっているのか。
富や利益のために何百万人を犠牲にしても厭わないその感覚はどこから生まれてくるのか。
政治や経済というシステムが増幅させたのだとしても、人間が誰しも心の中に持っている何かが結果としてその何百万人を踏みにじる原因をつくり出している。
その何かを突きとめていきたい。
その何かを描いていくことで自分の中にあるその何かを日の光の中に照らし出していくことができる。聖人君子になるというのではない。その何かに真摯に向き合ったとき本当に何かが変わるはず。アメリカという大国にしたって、大統領の覚悟ひとつで大きく進路を変えていくことも出来たのだ。残念ながらケネディはその道半ばで暗殺されてしまったけれども。

すべてが絶望というわけではなく、歴史の端々にきらめくような指導者たちも現れてくる。
死をも恐れないその魂の中に人間が持っている輝かしい一面を見出すことだって出来る。
何百万人を虐殺した悪魔のような指導者だって、きっと始めはその輝きを実現したいと考えていたはずなんだ。生まれてきたときにはきっと。そこだけは、いつも信じていたいと思う。

日本の歴史や政治はアメリカ抜きには語れない。デモに行ってる人にも行かない人にも、安保法案に賛成の人にも反対の人にもぜひ読んでもらいたい骨太の全3冊。

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